前月佳什抄

鶺鴒が声かけ頭の上を飛びゆけり「人生楽しみ生きていますか」 三友さよ子

飲み難き栄養剤に生かされて湯上がりの肌ほの紅帯びぬ     会川 淳子

有り得ざることの蔓延る世界なりかく起こりけむ先の戦争も   横田 富男

春風の強く吹き荒れ前山は杉花粉飛び山火事の様        青木 タカ

手窪には温きかひごを入れたるか鶏小屋出で来る男の子の笑顔  伊藤千卋子

人の価値老いて病みても変らじとふ医師の講話を前列に聴く   小井川敏子

街川の底ひの砂利まで日の及び小さき魚の動き初めたり     落合 三津

人住まぬさとの生家に梅一輪母居りし日を振り返りたり     鈴木 敬治

少しづつ酪農の影消え行きて篠竹迫り来放牧場に        平野喜久子

道すがら汚れし靴に気づきたりこれから銀座へ行くといふのに  渡辺 久美

                       (五月号より)

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