前月佳什抄

未だ咲かぬ岩たばこの葉繁りゐて天狗滝より水ほとばしる    中村美代子

いかづちに停電したる部屋にゐて「ヌヌマチガマ」の闇を思へり 会川 淳子

大禍無く共に八十路を迎へられ終の住処を夫と語らふ      奈良村勝子

くきやかに入道雲の湧き立てり真夏の空の青く澄みゐて     利根川 発

遠富士の海に浮かべるその際をあかねに染まる船影のゆく    天野 弘枝

とこしへに母の内にはお河童の少女なるらむ古稀過ぎし吾も   樫本 信子

帰り来る妻の好みと植ゑたるに盆を待たずに白ゆり香る     神辺 幸夫

聞こえねば質す気配もなき夫の会話の外に微笑むばかり     北市 邦子

自転車の向きをそろへて車庫に並ぶ友人夫婦は免許を返し    内藤 昌子

わが耳に消えざる記憶飛行機の飛ぶ音胸のつまる思いの     森島 朝子

                       (十月号より)

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