前月佳什抄

学舎に声に出だして読みたりき憲法前文新かななるを    中村美代子

頼めども引き受け手なく会長の後継指名に我が名を告げり  吉澤とし子

黄のテープを巻かれ伐らるる順番を如も見ゆ声無き木木ら  稲本美智子

愚痴などをメールに打ちて一呼吸送信ボタン押さむ押すまじ 上野 貴子

五本指の靴下履くも納まらず出で入りなせる小指の反抗   北市 邦子

夕暮れの水張田遠近響かせて蛙鳴きゐる田植ゑの近し    坂間 範子

突然の丹沢颪か疾風にふんばれど躰数歩よろぼふ      佐々木つね

殺傷兵器の輸出たくらむこの国に桜前線北上しゆく     内藤 昌子

港内の日除けの下に老漁夫はあばりをつかひ刺し網繕ふ   平嶋 輝美

三十路にて外地に寡婦となりし母しのび歩まむ残生の日々  山口 怜子

                       (七月号より)

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